渉成園(枳殻邸) 東本願寺

Category: 京都   Tags: 渉成園  枳殻邸  

渉成園は京都市にある真宗本廟(東本願寺)の飛び地です。

その土地は徳川家光より第13代宣如上人に寄進されたもので、宣如上人は隠居地として使おうと、陶淵明の「帰去来辞」の詩の一節「園日渉而似成趣」(園日に渉って以て趣をなす」から採って「渉成園」と名付けました。

周囲の生垣に枳殻(カラタチ)を植えたことから通称、枳殻邸と呼ばれます。

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池泉回遊式庭園は石川丈山の作庭によるもの。

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京都駅のほど近くにもかかわらず、周囲の喧噪とは隔絶された寛げる庭園です。

千利休、裏千家とかかわりが深かったことから苑内には沢山の「縮遠亭」「蘆庵」」などの茶室が散在しています。

それでいて文人趣味の庭園かと思えば、やはり仏寺の庭園らしくお内仏のある「園林堂」と「傍花閣」を中軸に全体設計されているそう。

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<傍花閣>意匠としては面白いけど、実用性はあるのだろうか?

またこの地は、平安時代前期(9世紀末ごろ)河原の左大臣と呼ばれた源融が営んだ六条河原院の旧跡という伝承があったことから、庭園のあちこちに縁のものがあることで有名です。

源融といえば、嵯峨天皇の十二男。源氏の姓を受けて臣籍に下り、その後に左大臣となりました。

風流を好み、鳥獣、虫魚、花木が好きで女性も大好き、色好みで知られ、紫式部『源氏物語』の主人公光源氏のモデルとされます

「河原院」は、4つの町をまたぐ鴨川の西の広大な土地に、四季折々を楽しむ草木を配し、さらに奥州塩釜に模した池庭をこしらえて、鴨川の水を引切れ、さらに難波から海水を運ばせて海水を池にため、海水で住む魚や貝を飼い、塩焼を楽しむという贅沢の限りを尽くした邸宅でした。

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<奥の塔は源融の供養塔>

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<塩釜の手水鉢>

源氏物語に登場する「六条院」も、源融の造った「六条河原院」がモデルとされます。

ちなみに台風被害のため、このたび修復されることが決まった宇治平等院は、元々融の大臣の別荘地でした。

美意識を総動員し、心血注いで出来上がったのが「河原院」。

そのため源融は造営した邸宅の名前をとって「河原の左大臣」と呼ばれるようになったのです。

源融はそこで豪奢な生活を楽しみ、七十三歳まで生きました。当時の平均寿命より遥かに長生き。

何の心残りもなくこの世を去れそうに思うのですが、あまりに邸宅への執着が強かったのか、死後もそこに住み続けたとされます。

「河原院」には融の幽霊が出る!ということで都で評判のお化け屋敷となり、その様子は多くの物語で描写されることになります。

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この邸宅を相続した源融の息子昇は、広大すぎてお手入や維持があまりに大変だったのでしょう。

宇多法皇に寄進してしまいます。

宇多法皇は評判の六条院に、御息所(妃の一人)と一緒にいそいそ出かけ、お泊りすることになりました。

息子のしたことが許せないのか、自分が仕えていた元主人の宇多法皇が出家したにもかかわらずお楽しみなのが許せないのか、その晩源融の幽霊が出ます。

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宇多法皇が「そなたは誰か?」と尋ねると、幽霊は「この家のあるじだったものでございます」と答えます。

「ということはそなたは、融の大臣かな?」と聞くと、「その通りでございます、我が家にあなたさまが大勢の方といらっしゃるものですから、狭くて、窮屈なのでございますよ、どこに身をおけば良いのやら」

宇多法皇は「されどそなたの子孫が私に献上したのであるからなぁ、昔はどうあれ、今は私の住まいであるぞ」

「恨むのはお門違いである」と高らかに怒鳴りつけたら幽霊は消えたという説と、

幽霊になっても相変わらず色好みの癖が抜けない融は、傍らにいた御息所の美しさに惹かれ、妃を所望し、いきなり抱きついたという。

哀れ御息所は気を失って倒れこみ、加持祈祷でやっと蘇生したという話があります。

いくらプレイボーイとは言っても幽霊となってはね~

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<京都タワーが綺麗に見えます>

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<回棹廊>
昔は反り橋だったと伝えられます。中央の唐破風には灯りをともす釘があり、金灯篭が吊っていたそう。

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<間風亭>
中国崑崙山脈にある山「間風」からとられ、賓客をもてなすために使われました。

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<高石垣>石橋や礎石、石臼、瓦などが複雑に組み合わされています。

とはいえ、この荒れすさんだ河原院は、歌の名手たちの格好の題材となりました。

紀貫之、能因法師、源道済など、そうそうたるメンバーがいにしえの風雅を偲んだ歌を詠んでいます。

「八重むぐら 茂れる宿の寂しさは 人こそ見えね 秋は気にけり」

そろそろ秋の気配が欲しいところですよね。

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テーマ : 京都・奈良    ジャンル : 旅行
 2012_09_04


Comments

No title 

なんと贅沢な住まい。
幽霊の話を聞くとひとしお興味深いですね。
スズまま  URL   2012-09-04 13:36  

No title 

スズまま>

この河原院の幽霊屋敷のバージョンは沢山あって、御息所は結局儚くなってしまうという終わり方もありますし、他にも旅の夫婦者が知らずに雨宿りして、妻だけ殺されてしまうとか、様々なお話が語り伝えられてます。
せれまま  URL   2012-09-04 23:28  

No title 

京都駅から徒歩7分!
こんなところがありましたか。
傍花閣は面白い意匠ですねえ。
ちょっと見てみたいです。
涼しいころにぶらり訪ねてみます。
参考になりました。
ありがとうございます。
ポコmom  URL   2012-09-05 12:49  

No title 

ポコmom さん>

おはよございます。
お返事が遅くなってごめんなさい。
少々夏風邪をひいてしまって。
夏の京都あちこち廻られたようですね。
またゆっくり拝見させてくださいね。
渉成園は駅近でとっても便利な穴場スポットです。
何かの折にでも、ぜひお寄りくださいね。
せれまま  URL   2012-09-08 08:18  

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